埼玉県の川で相次いで目撃されている“特定外来生物”。海外では、川の堤防にいくつもの穴をあけ、洪水など大きな被害をもたらす危険な生態が明らかになっているが、日本での調査は進んでいない。首都圏で生息範囲を拡大する“ナゾの生き物”を追った。
埼玉県三郷市を流れる川で、男性は奇妙な動物を目撃したという。
「しっぽが長かったのでネズミじゃないなと」。
スマホで撮影した動画を見せてもらうと…たしかに、しっぽがかなり長い。撮影場所は、川幅3メートルほどの第二大場川。
番組スタッフは、男性らの目撃情報から“ナゾの生き物”の捜索を開始。
すると3日目。体長30センチほどで長いしっぽの黒っぽい毛で覆われた動物を発見。特徴の長いしっぽは体長と同じくらいの長さがあった。
埼玉県で哺乳類の研究を行っている専門家に撮影した映像を見せると…
「マスクラットという動物。戦時中に毛皮をとる目的で持ち込まれ養殖されていた」という。
“ナゾの生き物”の正体はマスクラット。第二次世界大戦の前に、北アメリカから輸入されたという。83年前に発行された『毛皮日本』という雑誌には『マスクラットの養殖講座』という記事も。雑誌をみると東京・江戸川区に飼育場があったことが分かる。そこで“養殖”されていたマスクラットが、野生化したとみられている。
マスクラットは現在、東京・千葉・埼玉で確認されていて、埼玉県では目撃情報が30件ほど寄せられているが、基本的な生態についてほとんどわかっていない。これまで具体的な調査が行われた記録もなく、分からないことが多いというマスクラット。
ただ、その危険性について専門家は「川の土手などに掘った巣穴によって、堤防が崩れて洪水などのリスクもあり、問題視されている」と話す。
洪水などを引き起こすという巣穴とはどんなものなのか、撮影を再開。
川で泳ぐマスクラットを追いかける。すると巣穴と思われるものを発見。川岸から巣穴に向けカメラをおろす…そこに映っていたのは専門家も驚く貴重な生態だった。
(2023年10月25日放送「news every.」より)
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