7月に全国で倒産した企業が758件となり、前の年の約1.5倍に上ったことが分かりました。背景には、コロナ禍で企業支援のために設けた「ゼロゼロ融資」の返済が影響しているとみられています。
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先週、倒産情報を調べる調査員の男性が、資料を手に、東京・大田区にある建物を訪れました。ドアをノックしましたが…。
東京商工リサーチ・二木章吉さん
「すでに事業をやめてらっしゃるような感じですね」
この建物はプラスチック板の加工会社で、「倒産した」との情報を得て確認に来たのです。大家に話を聞くと、この会社は先月、突然、倒産したといいます。
会社の建物の大家
「自己破産したんだよ。書類が来たんだよ。ウチに2回、弁護士から書類が来てるんだよ」
扉を開けると…片付ける暇もなかったのでしょうか? 事務所の中は、物であふれていました。
東京商工リサーチ・二木章吉さん
「うわあ…パソコンも古っ!」
記者
「夜逃げみたいな感じですね」
他にも調査員が確認に向かったのは、近所の金属加工の会社です。ここは、電車の部品などを作っていました。コロナ禍による鉄道利用者の減少で、仕事が減るなどして倒産したとみられています。
隣の会社で話を聞くと、「社長さんが来て多分、取引先の人とも話していたので、夜逃げみたいなことはないと思いますけど」ということでした。一体、何が起きているのでしょうか?
倒産した会社の隣にある会社
「ここ2、3か月急激に(売り上げが)落ちこんでいる会社が周りに多いです。(新型)コロナの時に借り入れしてたところが」
8日に発表された先月の全国の企業倒産件数は758件でした。(前年同月比53.44%増)
「コロナ禍」の中で企業支援のために設けた「ゼロゼロ融資」。実質、無利子・無担保の融資でしたが、その返済が先月から本格化したことも「倒産件数」に影響しているといいます。
東京商工リサーチ・二木章吉さん
「(返済と)コロナ禍で落ちた売り上げが戻らないという企業の中にも、業種によってはあるという中で、そういったところで資金繰りが厳しいと」
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企業を支援する側も、この状況を心配しています。
城南信用金庫では、顧客である地元の中小企業から“生の声”を聞くため、一社一社、会社を訪ねています。
訪れた卸問屋「京浜海藻」で聞かれたのは、コロナ前に戻っていない現場の姿でした。
京浜海藻の従業員
「飲食店さんも少し元気にはなってきているのですが、やはり、コロナで流通が変わったというか、取引がなくなってしまったお店さんも多くある」
調査を行った中小企業の2割から3割ほどは、融資の返済など資金繰りに悩まされているといいます。
梅林 小林代表取締役社長
「原材料あがって借りたお金の利息とか払ってくると、どうしても固定費ばかり上がってしまうと、会社経営自体は苦しくなってしまう。いま人件費とか月給含めた雇用の部分のアップといわれると、めちゃくちゃ苦しい、厳しいなと」
コロナ禍から経済活動が回復しても、恩恵を受けられない多くの中小企業。物価高や人手不足で今後、さらに倒産が増える可能性も出ています。
(2023年8月8日放送「news every.」より)
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